vol.6 ちいさな工房のおおきなこだわりの話/竹﨑伸一
6回目のTALK BARは、彫金を生業とする竹﨑伸一さんをゲストに迎えました。 今回はスタイルを少し変え、進行を前回ゲストの桂雀太さんにお願いし、竹﨑さんとふたりで話を進めていただきました。竹﨑さんの人柄がにじみ出るお話と、噺家さんならではの空気感が新鮮なトークを、文章で少しでもお届けできたらと思います! 鹿児島に生まれ、大学は大阪芸術大学大阪美術専門学校に入学。卒業後はハイジュエリーブランドに10年勤められます。そして、いつかは独立したいと考えていたことと、幼稚園にお子さんを送り迎えする必要があったため、これを機に退職し独立の道を歩まれました。 雲が見る人によっていろんなものに見えるように、自分がつくるものも、その人それぞれが自由に使えるものを柔軟につくっていきたいという気持ちから、工房「Studio Cloud」を4年前にスタート。指輪や看板、リメイクジュエリーなどをこれまでの経験で培ってきた彫金技術を活かし、オーダーメイドで制作されています。 「同じものをつくるわけじゃないから、オーダーメイドって毎回難しいんです。でもそれがオーダーメイドの面白さでもあります。自分に対して修行を課すように、それぞれ違う手や人に合ったものをつくることに向き合っていきたいと思っています」 つくる前のお客さんへのヒアリングでは、どんなものをつくりたいかを聞き出すためだけでなく、どんなことでも言える関係をつくることも大事にされているそうです。 「つくるなら10年経っても100年経っても、贈る人とつくるものに対して一生責任を持っていきたい。そしてそれならやっぱり、軽い気持ちでたくさんつくっていくのは違うと思います。だから初めてお客さんとお会いする際は、その人と一生付き合っていけるかを考えます。そういった自分の気持ちや行動で、きっとそのお客さんはまた次も来てくれるし、その人たちの子どももきっと来てくれる。多くはないけれど確実に繋がっていけています」 そう話す竹﨑さんは、ご自身が結婚指輪を手がけられたお客さんの結婚式にも度々出席されているから驚きです!リングおじさんも務めたことがあるのだとか。 まずは身近な人が喜んでくれるものをつくりたい。そんな竹﨑さんの想いと実際の仕事がひとつになっていることは、誰でもできることではなく、まさに竹﨑さんにしかできないことなんだろうなと感じました。 「電気が無くてもやっていけるんじゃないかってくらい、彫金はアナログな作業なんですよ」 糸ノコで金属板を切り出す作業をプロジェクターで投影しながら言う竹﨑さん。金属の柔らかさで加工のしやすさや用途も変わるのだそうです。雀太さんの「野菜に例えたらどうなんです?」という問いに、 「真鍮は割とサクサク切れるので大根。銅はもっちり切れる感じなんですけれど、何の野菜でしょうね?」 もっちり切れる?!と驚きながらも「じゃあ、アボカドは?」「里芋は?」「かぼちゃとか硬いですよ!」など参加者も混ざりながら大喜利のような場面もありました。笑 最後に、竹﨑さんに受注しつくっていただいた「CURRENT」の看板です。 「僕がものをつくる理由は、欲しいと思っている人の気持ちを満たしてあげたいから。パンケーキ食べたいって言われたらパンキーキ焼くかもしれないです(笑)」 以上、イベントレポートでした!次回もおたのしみに!
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